人と環境/第一/自分らしさ

今日から5月ですね。お昼の仕事が終わればGWに入ります。仕事は楽しいのですが,やはり心の解放感がありますね。今日からちょうど1年後,元号が変わるようです。

 

● 人と環境

ゲーテ『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代 上』(岩波文庫)からの引用です。

 

<「人間にとっていちばん興味があるのは人間です。人間は人間にだけ興味をもつべきかもしれませんね。われわれをとりまいているそのほかのものはすべて,われわれがそのなかで生きている元素にすぎないか,あるいはわれわれが利用する道具です。われわれがそれにこだわったり,気をとられたり,興味をもったりすればするほど,われわれ自身の価値の感情,社会の感情が減退するのです。庭園や建物や衣服や装飾品やその他の所有物に大きな価値を置く人は,社交的でなく,ひとに好かれません。そういう人は人間を見失っているのです。ひとを喜ばせたり,まわりに集めたりするのは,ごく少数の人にしかできないのです。舞台もそうでしょう?うまい役者はすぐに,お粗末な出来の悪い舞台装置を忘れさせます。反対に,きわめてうつくしい舞台は,いい役者がいないことを余計に感じさせます。>(pp.154-155)

 

● 人が第一

引用したのはヴィルヘルムの台詞です。西洋的といえば西洋的な言葉です。自然は支配するものというのは西洋では一般的な考え方です。しかし,ここで言いたいのはそういうことではない。人と人とが暮らす社会においては人が第一に考えられなければならない。そういうことだと思います。

これは人の幸せを言った台詞だと思います。たしかに,人と会うときに,環境が良いに越したことはないと思います。好きな人をデートに誘うときに,高級レストランのキレイな雰囲気の中で食事をすることは,とても幸せなことでしょう。しかし,狭いところでも互いの心が通じていれば案外幸せな時間を過ごせるものです。むしろ,ヴィルヘルムの言うように,きれいな空間はそちらに気をとられて目の前の相手を見ないということも起こりかねない。私たちにはそういうところがあります。「人が第一」という,とても良い台詞だと思いました。

 

● 自分らしくいること

分かりやすく恋人同士でたとえましたが,これはあらゆる場面でいえることだと思います。つまり,自分らしくいること,自分という人がどういう人間なのかをきちんと見せ,また,相手がどんな人なのかをちゃんと見ること。とても当たり前の話で,基本的なことですが,最も重要だと思います。

環境に左右されずに自分らしくいられるように,それを常に意識していたいものです。

 

Look your best - who said love is blind?

Mae West

 

 

 

ゲーテと小説―『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』を読む

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